I am TOMi

日常の出来事を、誇張しまくって和訳感を絡めたテイストで日記にしていきます。

結構ほぼ毎日食ってるぜ

もし知ってたらでいいんだけど、教えてくれないか?
俺たちが犯した過ちってやつは、墓標にまで刻まれちまうのか?

そうだとしたら、そいつは絶対的なものなのか?

正しい、正しくないの2種類でしか、俺たちは表現されないのか?

 

マイメン、俺の目を見て言ってくれよ。
お前が今日間違ったとしても、明日は一緒に最高のドライブをしようってさ。

 

「いらっしゃいませー」
「すみません、モコチキンください。」

コンビニでの何気ないやりとりが、ここ何週間か続いた。
ファミマの新商品であるモコチキン。

まじでリアルさ。
こいつと比べたらどんなジューシーなプッシーだってパッサパサの強烈なアンチョビなのさ。
俺はくそじじいになってもこのチキンを食べ続け、棺桶の中にもこのチキンを敷き詰めてもらう。

 

CHICKEN 4 LIFEさ。俺はそうなると確信していた。

あの店員が現れるまでは…

 

「よう、メン?分かってるな?準備をしな。俺が来たからには、ファミチキなんかでおさまると思うなよ。俺はいつにも増してクレイジーなんだぜ。」
「へい、アニキ。いつものモチコチキンですね?」

おい、まてよ。このファック野郎、いまなんつった?

「てめぇふざけてんのか?そんな昭和の名前みてぇなチキンじゃねぇ、モコチキンだ!このくそったれ、ぶちこまれてぇのか?」
「アニキ、タイムアップだ。もうあんたとはやっていけねぇよ…これを見てくれ。」
「ワッツ?」

そういってこのベトナム人の店員はこのチキンの名前シールを指さした。

 

「モ…チコ…チキン…だと?」

 

俺は目眩と吐き気に襲われ、その場に崩れ落ち、喘いだ。

俺はたしかに今までモコチキンを食べていたはずだ。
店員さんにも、毎回毎回モコチキンと伝えてた。
そして俺はまるでアイスキューブのようなキビキビした振る舞いでコンビニを後にしていた。

 

そう、これは誰も教えてくれない、最初から全てが狂ってる救われないゲームだったのだ。

それなら…

 

「ちょっとまてあんたなにをする!!」

「いいからそのチキンを全部よこせ!全部だ!」

狂ってるなら、リセットして元に戻すまでだ。
俺はケースの中にあるチキンを無かったことにするために強引に食べだした。

負けっぱなしでいられっかよ。
俺はトミイエ塗装だぜ、いくら自分が間違えてたって、そいつは俺じゃなく、いつだって誰かのせいなのさ。

もう、誰にも俺を止めることは出来ない。

 

「ちょっとあなたお金も払ってないのにやめなさい!おい!モチコチキンをかえせ!モチコ!モチコー!」

俺は無我夢中でモチコチキンを食べた。
モコチキンじゃねぇ、モチコチキンをな。

分かってる…分かってるさ。
ただ認めなくなかったんだ。

俺が認めたものが、実は間違いだったなんてな。


「ちょっとあんた!そんな食べたら喉つまらせるよ!モチコで詰まらせるよ!」

なぁ、みんなもそうだろ?
自分が信じたものをくつがえすなんて、最悪な気分になるよな。

 

「ほら言わんこっちゃない!喉詰まってるよ!だれかー!この人モチコ詰まらせて倒れましたー!」
でも、嘘でも間違いでも、自分の中の誰かさんがそれでも信じてやれるなら、最高にハッピーなんじゃないか?

 

「救急車ー!この人モチコ詰まらせてもう息してないよ!なんでこんな…こんなことに…」
どうでもいいけど、やっぱりモコチキンうめぇよな。

 

 

本日のエンディングテーマはこちら

 

It Was a Good Day

It Was a Good Day

  • provided courtesy of iTunes

 

 

またラップの和訳感出して言いたいこと言うぜ

《hook》
俺がなんでこんなにも塗料に詳しくて
ダチや隣町のセクシーなビッチから塗料について聞かれるかって?
(イエー!そりゃ俺が塗装屋だからに違いねぇぜ!)

俺がなんでこんなにも塗料を持っていて
高級な刷毛を振り回すだけで金がポッケに入ってくるのかって?
(イエー!そりゃ俺が塗装屋だからに違いねぇぜ!)

 

《verse1》
今日もハイなハイゼットで工事現場に乗り付けるぜ
若い連中に赤い絨毯を敷かせ、その上を歩いて足場まで行くのさ
おっと、足場に俺のゴールドチェーンを引っ掛けちまったぜ
ちぎれて落ちたが構うもんか、それに群がる若い連中にはいつもこう言うんだぜ
「そんなもんくれてやるからお茶買ってこいよ」
俺は最高にイカしてる、だから家の人が玄関から出てきて熱い視線を送ってくる
大量のネタ(塗料)がはいった容器なんか持ってられっかよ
NOという言葉と一緒にポイ捨て、俺はセクシーに家の人に近寄る
「ハニー、そんなに俺のテクニックが気になるの?」
「ええ、スィート、でもキャップ(ヘルメット)をしてたらもっと紳士的ね」
ちくしょう!ノーヘルを元請けにチクるんじゃねぇ!
だが俺の言い訳のスキルは世界一、でもなぜか元請けからの信用はガタ落ち
そいつはなんでかって?
俺はバレなきゃなんでも良いと思ってるクールでヤバイ下請け業者だからさ!

 

《hook》
俺がなんでこんなにも塗料に詳しくて
ダチや隣町のセクシーなビッチから塗料について聞かれるかって?
(イエー!そりゃ俺が塗装屋だからに違いねぇぜ!)

俺がなんでこんなにも塗料を持っていて
高級な刷毛を振り回すだけで金がポッケに入ってくるのかって?
(イエー!そりゃ俺が塗装屋だからに違いねぇぜ!)

 

《verse2》
愛用のブツはいつだって日本ペイント
安く仕入れて高値で塗る、ビッグビジネスさ
なぁ、最高だと思わねぇか?
みんなで儲けようぜ、俺の頭ん中は24時間そのことばかり
正直者がバカを見るって?全くその通りだぜ
ギャルで埋まるビーチ沿いの倉庫、そしてピカピカの64年式洗浄機
このふたつを手に入れるためにはどうすればいいか、知ってるだろ?
(塗って塗って塗りまくれ!)
俺は365日街角に立つなんてまっぴら
(塗って塗って塗りまくれ!)
元請けと家の人を喜ばせな、ちゃんとやることはやってな
(塗って塗って塗りまくれ!)
でもおめぇがやる前にこのマザファキトミがいただいちまうぜ
ハイになってイイトコ取り(上塗り)をして
褒められるのはいつだってこの俺なのさ
(ホーーーウ!)

 

《hook》
俺がなんでこんなにも塗料に詳しくて
ダチや隣町のセクシーなビッチから塗料について聞かれるかって?
(イエー!そりゃ俺が塗装屋だからに違いねぇぜ!)

俺がなんでこんなにも塗料を持っていて
高級な刷毛を振り回すだけで金がポッケに入ってくるのかって?
(イエー!そりゃ俺が塗装屋だからに違いねぇぜ!)

 

《verse3》
あぁ神様、こんな仕打ちありかよ
雨に続く雨、いくら俺がクレイジー塗装だからってたまったもんじゃねぇ
あのクロス屋を見てみなよ、こんなバッドデイだって
リュダクリスみたいに豪快にパテ処理をして、
スヌープドッグみたいにねっとりと壁紙をはってやがる
俺は指をくわえてあいつが稼ぐ様を見ているんだ
ところでマイメン、ちょっと俺のバッグをとってくれないか?
中には大金とウエス、この金をあのクロス屋に払うのさ
それはなぜかって?俺のために働いてくれてるからに決まってるだろ?
だから俺の鉄心入りのエアーフォースワンはいつでも新品
作業着だって汚れちまえば迷わずウエス
YO 大工さん、俺の名前を知ってるか?
(マザファキトミ!)
いつだってウエスをばらまくぜ!

 

《hook》
俺がなんでこんなにも塗料に詳しくて
ダチや隣町のセクシーなビッチから塗料について聞かれるかって?
(イエー!そりゃ俺が塗装屋だからに違いねぇぜ!)

俺がなんでこんなにも塗料を持っていて
高級な刷毛を振り回すだけで金がポッケに入ってくるのかって?
(イエー!そりゃ俺が塗装屋だからに違いねぇぜ!)

 

イメージトラックはこちら

ライド・ウィッミー (feat. シティ・スパッド)

ライド・ウィッミー (feat. シティ・スパッド)

  • ネリー
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

ラップの和訳感でなんか言うぜ

《hook》
残念だけど、もうここには愛情なんてものはねぇんだ。
ジャパニーズ社会で生きていくためには、やつらを出し抜くしかない。
だって、支配をするやつ、されるやつの2種類しかいねぇからさ、
誰だって人をアゴで使いてぇのさ。勝ち残るため。

《verse1》
俺が本物かどうかなんて、月末入金額を見ればすぐにわかるぜ。
おっと、ゼロがふたつたらねぇようだ。なめくさりやがって。
G(ギャングスタ)な俺をコケにしたらただじゃおかねぇ。
ハイになってやつらのヤサに乗り込むのさ。二度と口を聞けねぇようにするために。
名刺に書かれた住所にあるのは田んぼ。ちくしょう!してやられたぜ!
電話も出んわ。おいおいベイビー、日が暮れてきたぜ。
神様、こんなのありかよ…。

《hook》
残念だけど、もうここには愛情なんてものはねぇんだ。
ジャパニーズ社会で生きていくためには、やつらを出し抜くしかない。
だって、支配をするやつ、されるやつの2種類しかいねぇからさ、
誰だって人をアゴで使いてぇのさ。勝ち残るため。

《verse2》
金が今日も俺にこう言うんだ。
「努力が結果をうむんじゃない。結果がそれまでの行いを"肯定"するのさ。」
わかっちゃいるけど、俺は今日も金を稼ぐために頑張ってるつもりだぜ。
俺の元請けはみんな最高だぜ。なぜかって?金を稼いじまってるからだ。
俺の仲間もみんな最高だぜ。知ってるだろ?俺についてきてくれるからだ。
だから今日も俺は江戸川区を歩けるんだぜ。出身は砂町だがな。
金がすべてなんて言いたくねぇ。でも金で解決できないことってなんだ?
なぁ、教えてくれよ?
なんであいつは金を払わなくても俺とつるんでるんだ?

《hook》
残念だけど、もうここには愛情なんてものはねぇんだ。
ジャパニーズ社会で生きていくためには、やつらを出し抜くしかない。
だって、支配をするやつ、されるやつの2種類しかいねぇからさ、
誰だって人をアゴで使いてぇのさ。勝ち残るため。

《verse3》
大丈夫、ついてねぇだけさ。
なんたって俺はトミだぜ、どんな状況にだって噛み付いてやるのさ。
でもこんな仕打ち、あんまりだよな、まるでこれじゃカモネギだぜ。
この国は一体どれだけの楽しみを俺から奪っちまうんだ?
右を向けば税金、左を向いても税金。ブラザー、一体俺がなにしたっていうんだ?
ぶち込まれた税の弾丸は俺の口座のゼロを射抜き、

カラッカラになるまで暴れまわるんだ。
だがいいか、よく見とけよ!
俺がきっちり納税してシャレた服を着込み、シャンパンを何本もあけちまう姿をな。
なんたって俺はトミだぜ、督促状なんてまっぴらなのさ。

《hook》
残念だけど、もうここには愛情なんてものはねぇんだ。
ジャパニーズ社会で生きていくためには、やつらを出し抜くしかない。
だって、支配をするやつ、されるやつの2種類しかいねぇからさ、
誰だって人をアゴで使いてぇのさ。勝ち残るため。

 

 イメージトラックはこちら↓

Dirt Off Your Shoulder

Dirt Off Your Shoulder

  • ジェイ・Z
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

ちゃんと確定申告してるぜ

5年前のあの日、俺は心をなくした。
勝てもしない戦いに挑んだ代償はでかすぎたんだ。
俺のすべてをここに記す。

真実が、いつかは慰めになると信じて・・・。

 

 

 

「冗談じゃねぇ!なにを言ってんた!この金は全部俺のものだ!」

その日ポストに入っていた書類を見て、俺は叫んだ。

 

「一体どこの誰だか知らねぇが俺の金をコソコソつけ狙いやがって・・・ただじゃおかねぇ!」
踏みにじった書類を満タンのゴミ箱に突っ込んだ。

 

思えば、ダチにそそのかされ、確定申告ってやつに手を出してからどうも調子が悪い。
まるで毎日のように届く書類に、俺はいちいちブチギレていた。

 

「くそ!どうなってんだこりゃ・・・今度は5万支払えだと?ふざけやがって!」
腰ベルトに忍ばせておいたハンドスプレーガンを紙切れにぶっぱなそうとしたその時、
俺のスマホが鳴った。

 

「はい、もしもし、ファック野郎」

電話の向こうで、低い声が笑った。


「くっくっく、今頃お前がクレイジーになってると思って電話してみたが、案の定か?」

「誰だ?俺になんの用だ?なんで俺がブチギレてるって知ってやがる?」

「まぁそう焦るなよ、メン。お前もE.K.Zの名前くらい知ってるだろ?」

「くそが、名前どころか、お前らがいかに腑抜けかよーく知ってるぜ」

 

俺は内心、焦っていた。
E.K.Z・・・巷では江戸川北税務署と呼ばれていて、事業主狩りでのし上がったヤバイやつらだ。
この冷徹非道な連中に対して、俺は一体なにをしちまったんだ?

 

「くっくっく、相変わらず威勢だけはいいな。
元気なうちに墓場まで突っ走ってみるか?走り出す前にひとつ確認なんだが・・・
お前、俺の島でビジネスをしてねぇか?」

 

・・・バレるはずがない。
俺が東京中の一軒家を塗り荒そうと、こいつの耳にはいるわけがない。

 

「そ・・・そんなことあるわけねぇだろ」

「くっくっく、察したようだが、全部手遅れだよ。
良いダチを持てて幸せ者だな?確定申告のことまで気にかけてくれるなんてな。」

 

俺は全身のちからが抜け、膝から崩れ落ちた。
床に這いつくばりあえぎながら、フラッシュバックした。

 

申告したほうがいいよ家買うんだろ?
申告しないとあとあとドカっときて大変だぞ?
確定申告だけちゃんとやっとけばあとは色々大丈夫だよ!

 

セリフを吐く度、あいつはにやけていた。
とっくのとうに、俺は裏切られていた。
いや、裏切られていたんじゃない、はじめから騙すつもりだった。
騙すつもりだったんだ・・・。

 

「おい、どうした?まさか泣いてるのか?こりゃちょうどいい!
今、お前の涙をふくためにティッシュを送ったところだ!」

 

その時、インターホンが鳴った。

「トミイエさーん、郵便でーす」

俺は力をふりしぼり、玄関を開けた。

「手紙が一通ですね、だいじょうぶですか?顔色がわるいですよ?」

そういって差し出されたのはティッシュではなく、区民税8万円の納付書だった。
追い打ちのおかげで、限界を超えた俺の涙はとまった。

 

「なぁ、あんたが一体なにものなのかまだよくわからないけど、こんなゲーム、とっとと終わらせてくれよ。お願いだ、もう楽にしてくれ、頼む」

「damn!なにを寝ぼけてる?さっさと起きろよ、ドアを開けて、その納付書を持ってコンビニのレジにもっていけ。お前ができることはただひとつ、俺たちの財布を肥やすことだけだ。」

 

この瞬間にわかっちまったんだ。
俺がどれだけ間抜けでちっぽけな人間かって。
個人事業主として、自由に仕事をしていると、俺は錯覚していた。
現実はただの税金支払い機で、国が暗証番号を入力すれば、壊れるまで金を出し続けなければならない。

 

E.K.Zは、義務という正義の弾丸を俺のこめかみに打ち込み、笑った。

 

 

 

-5年後-

 

「やばいやばい!ちこくちこくー!」
寝坊した私はパンをくわえ、小走りで会社にむかっていた。

 

今日の仕事内容を考えながらT字路を左に曲がろうとしたとき、右から走ってきた男とぶつかった。

 

衝撃でドスンと尻餅をついた私は悲鳴をもらしたが、相手も同じようだ。

「いったーい、大丈夫ですか!?」

男のもっていた大量の書類が散らばってしまったので、一緒に集めようとしたが、男が言った。

「それに触れるな。」

「え・・・」

 

私は拾いかけた書類に目をやった。

・・・14万円の納付書?

 

「くそ、よこせ!」

掴んでいた書類を取られ、落ちていた書類も集め始めた。

 

「damn!なに見てやがる!さっさといけ!くそビャッチやろうが!」

「これ・・・全部納付書?」

「だからなんだ!てめぇもそんな目で俺をみやがる!もう行け、行ってくれよ!」

 

男は泣き出し、持っていた紙袋で私を追い払った。
紙袋を乱暴にぶん回したおかげで男は転び、中身がすべて散らばった。

 

全部、税金の納付書だった。

 

倒れて泣いてる男の周りを納付書がまるで桜吹雪のように舞い、日本の縮図を見ているようだった。

「大丈夫ですか?顔色悪いですよ?きゃ!顔色じゃなくて顔が悪い!」

 

それは、現実的であり、幻想的でもあったが、男にとってはどっちでもよかった。

今月の税金を収めることさえできれば、それでよかった。

 

 

エンディングテーマはこちら

 

I’m Dreamin’

I’m Dreamin’

  • KOHH
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

 

亀のゼウスくんを紹介するぜ

なぁ、神様ってちょっと強引だと思わないか?

神様がそう言えば黒だって白になるし、男も女になっちまう。

 

どんなチカラを持ってるかは知らないけど、

人間や動物にちょっかいを出して楽しんでいるのは確かだ。

 

それが良いことか悪いことかなんてきっとお構いなしなんだろうけどな。

 

 

 

「おいゼウス、お前またでかくなりやがったな?」

 

俺の相棒のゼウスは、爬虫類・・・亀だ。

もう5年以上、水槽越しだが一緒に暮らしている。

 

「そういうお前は肝っ玉が小さくなっちまったようだな?

少し甲羅がでかくなったくらいで腰ぬかしやがって」

 

「What's?俺が腰抜けだと?おいまてよ、俺は運転中に

煽られてとびっきりの文句を垂れに行ったら相手がオカマだったときも、

120万未入金のまま元請けに飛ばれたときも、いつだってクールだったぜ」

 

そう、この俺が腰を抜かすわけがない。俺はトミイエ塗装だぜ。

 

「いいか?なにがリアルが教えてやる。

お前がいかにクールだろうがグールだろうが知ったこっちゃねぇ。

俺はとにかく食って寝て甲羅を日干しする。それだけさ。

わかったらさっさとそこのイカれたエビをよこしな」

 

「damn!このクレイジーが欲しいってか!?だったらまず口の聞き方をなんでも親切に答えてくれるグーグルに聞きやがれ!今すぐにだ!」

 

そういって俺はエビを手に取り、ゼウスの口へと運んでやった。

むしゃむしゃむしゃ・・・

 

「まぁ、悪くはない。ただすこし小さいな。仕入れるならもうすこしでかいサイズにしたらどうだ?お前のショボくれた財布のGOサインが出るならな。」

 

「そいつは名案だ。それより、お前のためにもうすこしでかいサイズの謙虚な心というものを先に仕入れようと思うんだ。どこで買えばいいんだ?」

 

「ググればなんでも答えてくれるんじゃなかったのか?ひとつ提案だが、お前の中途半端な筋トレの改善方法をまずググったほうがいいんじゃないのか?このビャッチ野郎が。」

 

俺たちの単調で平凡な毎日は、飼い主とペットの関係を友達というものに変えた。

こればっかりは金で買えるものではないし、もちろんグーグルに聞いたところで

手に入る結果ではない。

 

確かにここには、男同士の絆があったんだ。

あの夜がくるまではな・・・

 

 

 

「それじゃあゼウス、またあしたな。」

 

「おう・・・ちゃんと寝ろよ。」

 

「どうした?顔色が悪いぞ?具合でも悪いのか?」

 

「大丈夫だ、なんにも問題なんかないさ。俺は眠いんだ、さっさと電気を消してくれ。」

 

減らず口の応酬がはじめる前に、俺は電気を消し、寝室へと向かった。

ヘタれたベッドの上でスマホをいじっていたが、さっきのゼウスの様子が気になり

まったく眠れやしない。

 

俺は立ち上がり、あいつの様子を見にリビングへと戻った。

電気は消えている。ゼウスの物音も聞こえない。

 

唯一の違和感は、月夜に照らされた白い塊が水槽の底に沈んでいることだった。

 

「これは?一体・・・ゼウス?」

 

見たこともないものが水槽に入っていることより、ゼウスの安否が気になっていた。

俺は電気をつけ、水槽の奥を覗いた。

ギャングや強盗が入らない限り、ゼウスは安全なはずだ。

しかし奥にいたゼウスの表情は危険に怯えるそれとは全く別物だった。

泣いている。

 

「ゼウス?大丈夫か?なんだこの白い塊は・・・」

 

するとゼウスは発狂したかのように声が荒げ言った。

 

「ちがう!ちがうんだ!こいつは誤解だ!おいたのむ、俺だった知らなかったんだ・・・。たのむから信じてくれ・・・。」

 

俺は訳がわからなくなり、困惑した。だって、俺がなにを誤解してるっていうんだ?

 

「なぁとりあえず落ち着けよ、お前は悪くないんだろう?一体なにがあったかおしえ・・・。」

 

俺はハッとした。

そして、脳裏に最悪がよぎった。

 

ゼウスをペットショップから連れて帰ろうとしたときの店員の、俺を馬鹿にした顔。

ゼウスくん!と呼んだ時に居合わした客人の、俺を馬鹿にした顔。

ゼウスに乗って竜宮城に行くというジョークに笑わず、俺をコケにした同居人の顔。

 

フラッシュバックした映像は、図柄が揃ったスロットみたいにすべての辻褄を合わせた。

 

みんな知っていたんだ。

ゼウスくんが、本当はゼウスちゃんなんだって、知っていたんだ・・・。

 

先に喋ったのはゼウスだった。

「そう、卵・・・卵さ。俺は卵を産んだ。オスだったはずの俺が卵を産んじまったんだ。この意味、わかるよな?」

 

「ゼウスおまえ・・・メスだったのか・・・」

 

いや、俺はもしかしたら最初から分かっていたのかもしれない。

ただ、認めたくなかったんだ。

生まれたての亀の性別は分からないらしいけど、俺は勝手にオスだと思い込んで

ペットショップから一緒に帰ってきた。

 

「なぁトミ、ごめん。俺だった知らなかったんだ。まさか俺がメスだったなんて・・・。騙すつもりはなかったんだ、信じてくれ・・・たのむ。」

 

そして、立派なオスだと思い込んだまま、将来を、夢を、人生を語り合ったんだ。

 

「泣くなよ、お前がメスだろうがゲスだろうが、なんだっていいんだ。

俺はただ、お前とうまくやっていきたいんだ。メスが気に入らないなら俺が変えてやる。大丈夫、神様がお前をメスにすりかえちまったんなら、ガンをぶっぱなして取り返すまでさ。」

 

そう、簡単なことさ。

うっかり無精卵を産んじまう変わったオス亀だと思えば、それでいいのさ。

 

誰にも俺たちを縛らせない。

俺たちは自由に生きているんだ。

 

「へへっ、俺としたことがこんなことで腰ぬけになっちまうなんてな。二人共腰抜けじゃざまーねぇや。」

 

「おいゼウス、お前が女々しく泣いてる間、ぴったりのあだ名を考えてたんだ。

ミュータントプッシータートルさんってのはどうだ?」

 

「FUCK OFF!! くそくらえ!!」

 

 

 

なぁ、神様ってやっぱり、ちょっと強引だよな?

でも、強引なドラマで深まる絆があるとすれば、全然悪い話じゃないよな。

 

運命は決まってるかどうかなんてきっと教えてくれないだろうけど、

大概のことは自分で舵をとれるようにできているはず。

 

メスで生まれ卵まで産んだゼウスをオスだと言い切った俺みたいにさ。

 

 エンディングテーマはこちら

Never Say Never ~Complete~

Never Say Never ~Complete~

  • MoNa a.k.a Sad Girl
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

 

 

チャージ式のカードに現金飲まれたの2回目だぜ

 「おい、ナナコ…何か言えよ、クソ、ちくしょう…ちくしょー!」

 

-am8:30-

 

「おめえさん、うちのブツに手出すときはそのうすぎたねぇ財布をパンパンにしておくか、このカードを首からさげておくんだな」

 

このコンビニに来たのは初めてじゃないが、この初老の店員と話すのはおそらく初めてだった。

 

「なんだおめえさん、このカードをしらねぇのか?こいつはナナコカードっつって、
この店で買い物をする時にこいつをレジの野郎に渡す。そうするとごっそりポイントをつけておめえさんにこのカードを返す。わかるな?こいつは手品じゃなく魔法だ。おっと、他には言わないでくれよ?」

 

つまり…買い物をする度にポイントがつくってことか?俺は聞いた。

「ヨゥメン、おっさんの言うことが全部真実なら、俺は今日にでもベンツに乗れるってことで間違いはねぇよな?」

「もちろんさ、おめえさんが本物ならな」

なんてこった!こいつはついてるぜ!
俺はポーカーフェイスだが、内心、ぶっ飛びそうでたまらなかった。

 

しかし、疑問も残った。

「ブラザー、俺は本物に違いないが、なぜそのカードを俺に?」

ほかに上客なんてごちゃまんといる中、なんで俺が選ばれたのかわからなかった。

 

その時、店員は顔を真っ赤にしユニフォームをめくりあげ、腹に掘られたSEVENの文字を見せつけこう続けた。

「damm!この俺を疑っているのか!?このクソ野郎!俺はおめぇのお袋がまだ乳母車に乗ってるときからこいつで食ってるんだぜ!おめぇみてえなワックな新米にナメられる筋合いなんかねえんだよ、ぶちこまれてえのか!」

 

俺は不意打ちをくらい、ひるんだ。

「ま、まってくれよ、その、すまなかった、そんなつもりじゃなかったんだ」

「じゃどういうつもりだ?おめえさん、なにか勘違いしてねぇか?つべこべ聞く前に、やるべきことをやれ、それが本物じゃねぇのか?」

 

そうだ、俺はトミイエ塗装だ。

俺が本物かどうかなんて、俺が一番わかっているはずだし、その証明はここでするべきだ。

 

「うるせぇこのクソビャッチやろうが、説教なんかいらねぇ、俺が欲しいのはそのカードだ、わかったんならさっさとひざまずいて俺にそいつをよこせ」

「おっと、いっちょまえなこと言いやがるぜ、使い方もしらねぇくせに…」

俺は店員が言い終わる前にそのカードを奪い、プロテインバーをレジに差し出した。

 

「へっ、やるじゃねぇかクソガキ、それでこそ男だ。お会計162円…ふん、まずまずの数字だ。」

言ってろ、今から俺が出す札束を見たこいつは犬みたいに言うことを聞くようになるだろう。

「5000円でどうだ。」

「damm!おめえさんまじで本物だったのかよ!こいつは驚いたぜ!!」

 

完全に俺にビビったこいつは会計をすまし、5000円をレジをしまった。
そしてカードを俺に返してきた。

 

「疑って悪かったな、ありがとよ、久々に本物に出会えて嬉しかったぜ。」

俺たちはハグをし、俺はその場を去ろうとした…いや待てよ、おつりがまだだ。

「おい、待てよ、俺の金は?おつりがまだだぜ」

店員はニヤニヤしながら言った。

「whats?おめえさん寝ぼけてるのか?こいつはチャージタイプだぜ?」

 

俺は目の前が真っ白になった。チャージ…?ってことは俺の金は帰ってこないってことか?
目眩で倒れそうになるのをこらえながら、太陽が沈みかけている外へ飛び出した。

「ありがとうございましたー!またいつでも来てくれよ!お客様ー!」

俺を馬鹿にした金切り声をあげる店員を後に、俺は足を引きずりながら車に飛び乗った。

 

「おい、なんだよ…なんでだよ…ナナコ…俺の金…返してくれよ、そいつは今日の経費なんだよ…」

俺は、座席に隠してあった缶スプレーを握った。

「大丈夫、大丈夫さ、俺はトミイエ塗装、いつだってうまく乗り切れるさ」

 

なぁ、神様っていると思うか?
どっちでもいいけど、いるんならそいつは相当意地の悪い野郎に決まってる。

「そうだ、今日もうまく乗り切れたら、このプロテインバーを食べよう、今日のご褒美だ」

 

俺は握っていた缶スプレーをこめかみにあて、トリガーを引いた。

 

 エンディングテーマはこちら

Real Muthaphuckkin G's

Real Muthaphuckkin G's

  • イージー・E
  • ラップ
  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

 

本当は寂しいんだぜ・・・

「おいおい!もっと丁寧に扱えって!」

 

ドスンと置いた10キロプレートが鬼の形相でいつものように言った。

 

「大体てめぇはたいした筋肉量もねぇくせに重量重量ってばかみてぇに…てめぇみてぇなワックにはカロリーだけのマックがお似合いだぜ、このFUCK野郎が、そもそもな…」

 

俺は耳に特大のタコができるまで聞かされ続けるこいつのフリースタイルに適当な相槌をうち、サイドレイズをする。

 

アイスバーグスリムの小説から飛び出してきたかのようにクチが悪いこいつは、他のダンベルプレート達とうまく馴染めず、一個でいることが多い。

「おい聞いてんのか?言い返せなくて悔しいんだろ?ボンボクラなんとか言えよこのボンクラ、詰め込むお前の耳に小倉」

 

本当は寂しいんだ…。


塗装屋の俺にはそう聞こえる。

だから今日だって、ガミガミうるさいこいつを優しくもって、もう動かない肩の仕上げにフロントレイズしてやるのさ。

 

「おい!やめろよ!おろせ!そんなふうに扱うんじゃねぇ!俺は泣く子も黙るクレイジー10kgだぞ!」 そんなふうに駄々をこねるこいつに、笑顔がチラついた。

 

筋肉が金切声をあげ始めたところで、俺のトレーニングは終了。

プロテインを飲むため部屋を出ようとすると、クレイジー10kgがこう言った。

「雑な扱いしやがって、でもまぁ、また付き合ってやってもいいぜ、くそ野郎」

 

あぁ、何度でも付き合ってもらうぜ。

そして俺はこいつと共におさらばするのさ、
触っただけで折れるスカスカな枝みたいな体とはな。

なぁ、悪い話しじゃないだろ?

 

エンディングテーマはこちら

Stand Up

Stand Up

  • provided courtesy of iTunes