俺は塗装屋のトミだぜ
「what`s?」
ローソンの店員は、俺がレジカウンターの上に置いたものを見てそう言った。
50セントみたいにリッチにお会計をしてリュダクリスのように堂々と店を後にするはずだったのに、店員はまるで俺をクーリオの髪型を見るような目つきで突っ立ってやがる。
「なんだ?俺の顔になにかついてるのか?このファック野郎、こめかみにぶちこまれてぇのか
?」
俺にはこの哀れな店員が涙をながし土下座をする様が見えていた。
だってそうだろ?俺は塗装屋のトミだぜ。
だかその店員は俺に命乞いをするどころかこういい放った。
「スマホを…どういたしましたか?」
damm!
目眩で天地がひっくり返っちまった。
俺が差し出したのは棚から持ってきたキットカットバーではなく、俺が家から持ってきてたペンキまみれのスマホだった。
「違うんだ、こいつは間違いだ!」
命乞いをするのは俺のほうだった。
俺の中で、店員の顔がフラッシュバックする。
店に入った時、俺が商品を選んでいる時、俺がブツをカウンターに置いた時…
この店員はいつだって、にやけていた。この俺を見て、にやけていたんだ。
俺はすみませんとだけ言い、小銭を出しぴったり会計をして店をあとにした。
俺の後ろ姿を、あの店員は負け犬のように見ていただろう。
だが、ここからなんだ。
俺はファックな負け犬に違いないが、負け犬にだって、噛みつくことくらいはできる。
石ころと壊れた夢しか転がってないこの町で俺はいつだって噛みついてやるのさ。
なぁ、そうだろ?
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