I am TOMi

日常の出来事を、誇張しまくって和訳感を絡めたテイストで日記にしていきます。

亀のゼウスくんを紹介するぜ

なぁ、神様ってちょっと強引だと思わないか?

神様がそう言えば黒だって白になるし、男も女になっちまう。

 

どんなチカラを持ってるかは知らないけど、

人間や動物にちょっかいを出して楽しんでいるのは確かだ。

 

それが良いことか悪いことかなんてきっとお構いなしなんだろうけどな。

 

 

 

「おいゼウス、お前またでかくなりやがったな?」

 

俺の相棒のゼウスは、爬虫類・・・亀だ。

もう5年以上、水槽越しだが一緒に暮らしている。

 

「そういうお前は肝っ玉が小さくなっちまったようだな?

少し甲羅がでかくなったくらいで腰ぬかしやがって」

 

「What's?俺が腰抜けだと?おいまてよ、俺は運転中に

煽られてとびっきりの文句を垂れに行ったら相手がオカマだったときも、

120万未入金のまま元請けに飛ばれたときも、いつだってクールだったぜ」

 

そう、この俺が腰を抜かすわけがない。俺はトミイエ塗装だぜ。

 

「いいか?なにがリアルが教えてやる。

お前がいかにクールだろうがグールだろうが知ったこっちゃねぇ。

俺はとにかく食って寝て甲羅を日干しする。それだけさ。

わかったらさっさとそこのイカれたエビをよこしな」

 

「damn!このクレイジーが欲しいってか!?だったらまず口の聞き方をなんでも親切に答えてくれるグーグルに聞きやがれ!今すぐにだ!」

 

そういって俺はエビを手に取り、ゼウスの口へと運んでやった。

むしゃむしゃむしゃ・・・

 

「まぁ、悪くはない。ただすこし小さいな。仕入れるならもうすこしでかいサイズにしたらどうだ?お前のショボくれた財布のGOサインが出るならな。」

 

「そいつは名案だ。それより、お前のためにもうすこしでかいサイズの謙虚な心というものを先に仕入れようと思うんだ。どこで買えばいいんだ?」

 

「ググればなんでも答えてくれるんじゃなかったのか?ひとつ提案だが、お前の中途半端な筋トレの改善方法をまずググったほうがいいんじゃないのか?このビャッチ野郎が。」

 

俺たちの単調で平凡な毎日は、飼い主とペットの関係を友達というものに変えた。

こればっかりは金で買えるものではないし、もちろんグーグルに聞いたところで

手に入る結果ではない。

 

確かにここには、男同士の絆があったんだ。

あの夜がくるまではな・・・

 

 

 

「それじゃあゼウス、またあしたな。」

 

「おう・・・ちゃんと寝ろよ。」

 

「どうした?顔色が悪いぞ?具合でも悪いのか?」

 

「大丈夫だ、なんにも問題なんかないさ。俺は眠いんだ、さっさと電気を消してくれ。」

 

減らず口の応酬がはじめる前に、俺は電気を消し、寝室へと向かった。

ヘタれたベッドの上でスマホをいじっていたが、さっきのゼウスの様子が気になり

まったく眠れやしない。

 

俺は立ち上がり、あいつの様子を見にリビングへと戻った。

電気は消えている。ゼウスの物音も聞こえない。

 

唯一の違和感は、月夜に照らされた白い塊が水槽の底に沈んでいることだった。

 

「これは?一体・・・ゼウス?」

 

見たこともないものが水槽に入っていることより、ゼウスの安否が気になっていた。

俺は電気をつけ、水槽の奥を覗いた。

ギャングや強盗が入らない限り、ゼウスは安全なはずだ。

しかし奥にいたゼウスの表情は危険に怯えるそれとは全く別物だった。

泣いている。

 

「ゼウス?大丈夫か?なんだこの白い塊は・・・」

 

するとゼウスは発狂したかのように声が荒げ言った。

 

「ちがう!ちがうんだ!こいつは誤解だ!おいたのむ、俺だった知らなかったんだ・・・。たのむから信じてくれ・・・。」

 

俺は訳がわからなくなり、困惑した。だって、俺がなにを誤解してるっていうんだ?

 

「なぁとりあえず落ち着けよ、お前は悪くないんだろう?一体なにがあったかおしえ・・・。」

 

俺はハッとした。

そして、脳裏に最悪がよぎった。

 

ゼウスをペットショップから連れて帰ろうとしたときの店員の、俺を馬鹿にした顔。

ゼウスくん!と呼んだ時に居合わした客人の、俺を馬鹿にした顔。

ゼウスに乗って竜宮城に行くというジョークに笑わず、俺をコケにした同居人の顔。

 

フラッシュバックした映像は、図柄が揃ったスロットみたいにすべての辻褄を合わせた。

 

みんな知っていたんだ。

ゼウスくんが、本当はゼウスちゃんなんだって、知っていたんだ・・・。

 

先に喋ったのはゼウスだった。

「そう、卵・・・卵さ。俺は卵を産んだ。オスだったはずの俺が卵を産んじまったんだ。この意味、わかるよな?」

 

「ゼウスおまえ・・・メスだったのか・・・」

 

いや、俺はもしかしたら最初から分かっていたのかもしれない。

ただ、認めたくなかったんだ。

生まれたての亀の性別は分からないらしいけど、俺は勝手にオスだと思い込んで

ペットショップから一緒に帰ってきた。

 

「なぁトミ、ごめん。俺だった知らなかったんだ。まさか俺がメスだったなんて・・・。騙すつもりはなかったんだ、信じてくれ・・・たのむ。」

 

そして、立派なオスだと思い込んだまま、将来を、夢を、人生を語り合ったんだ。

 

「泣くなよ、お前がメスだろうがゲスだろうが、なんだっていいんだ。

俺はただ、お前とうまくやっていきたいんだ。メスが気に入らないなら俺が変えてやる。大丈夫、神様がお前をメスにすりかえちまったんなら、ガンをぶっぱなして取り返すまでさ。」

 

そう、簡単なことさ。

うっかり無精卵を産んじまう変わったオス亀だと思えば、それでいいのさ。

 

誰にも俺たちを縛らせない。

俺たちは自由に生きているんだ。

 

「へへっ、俺としたことがこんなことで腰ぬけになっちまうなんてな。二人共腰抜けじゃざまーねぇや。」

 

「おいゼウス、お前が女々しく泣いてる間、ぴったりのあだ名を考えてたんだ。

ミュータントプッシータートルさんってのはどうだ?」

 

「FUCK OFF!! くそくらえ!!」

 

 

 

なぁ、神様ってやっぱり、ちょっと強引だよな?

でも、強引なドラマで深まる絆があるとすれば、全然悪い話じゃないよな。

 

運命は決まってるかどうかなんてきっと教えてくれないだろうけど、

大概のことは自分で舵をとれるようにできているはず。

 

メスで生まれ卵まで産んだゼウスをオスだと言い切った俺みたいにさ。

 

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Never Say Never ~Complete~

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