結構ほぼ毎日食ってるぜ
もし知ってたらでいいんだけど、教えてくれないか?
俺たちが犯した過ちってやつは、墓標にまで刻まれちまうのか?
そうだとしたら、そいつは絶対的なものなのか?
正しい、正しくないの2種類でしか、俺たちは表現されないのか?
マイメン、俺の目を見て言ってくれよ。
お前が今日間違ったとしても、明日は一緒に最高のドライブをしようってさ。
「いらっしゃいませー」
「すみません、モコチキンください。」
コンビニでの何気ないやりとりが、ここ何週間か続いた。
ファミマの新商品であるモコチキン。
まじでリアルさ。
こいつと比べたらどんなジューシーなプッシーだってパッサパサの強烈なアンチョビなのさ。
俺はくそじじいになってもこのチキンを食べ続け、棺桶の中にもこのチキンを敷き詰めてもらう。
CHICKEN 4 LIFEさ。俺はそうなると確信していた。
あの店員が現れるまでは…
「よう、メン?分かってるな?準備をしな。俺が来たからには、ファミチキなんかでおさまると思うなよ。俺はいつにも増してクレイジーなんだぜ。」
「へい、アニキ。いつものモチコチキンですね?」
おい、まてよ。このファック野郎、いまなんつった?
「てめぇふざけてんのか?そんな昭和の名前みてぇなチキンじゃねぇ、モコチキンだ!このくそったれ、ぶちこまれてぇのか?」
「アニキ、タイムアップだ。もうあんたとはやっていけねぇよ…これを見てくれ。」
「ワッツ?」
そういってこのベトナム人の店員はこのチキンの名前シールを指さした。
「モ…チコ…チキン…だと?」
俺は目眩と吐き気に襲われ、その場に崩れ落ち、喘いだ。
俺はたしかに今までモコチキンを食べていたはずだ。
店員さんにも、毎回毎回モコチキンと伝えてた。
そして俺はまるでアイスキューブのようなキビキビした振る舞いでコンビニを後にしていた。
そう、これは誰も教えてくれない、最初から全てが狂ってる救われないゲームだったのだ。
それなら…
「ちょっとまてあんたなにをする!!」
「いいからそのチキンを全部よこせ!全部だ!」
狂ってるなら、リセットして元に戻すまでだ。
俺はケースの中にあるチキンを無かったことにするために強引に食べだした。
負けっぱなしでいられっかよ。
俺はトミイエ塗装だぜ、いくら自分が間違えてたって、そいつは俺じゃなく、いつだって誰かのせいなのさ。
もう、誰にも俺を止めることは出来ない。
「ちょっとあなたお金も払ってないのにやめなさい!おい!モチコチキンをかえせ!モチコ!モチコー!」
俺は無我夢中でモチコチキンを食べた。
モコチキンじゃねぇ、モチコチキンをな。
分かってる…分かってるさ。
ただ認めなくなかったんだ。
俺が認めたものが、実は間違いだったなんてな。
「ちょっとあんた!そんな食べたら喉つまらせるよ!モチコで詰まらせるよ!」
なぁ、みんなもそうだろ?
自分が信じたものをくつがえすなんて、最悪な気分になるよな。
「ほら言わんこっちゃない!喉詰まってるよ!だれかー!この人モチコ詰まらせて倒れましたー!」
でも、嘘でも間違いでも、自分の中の誰かさんがそれでも信じてやれるなら、最高にハッピーなんじゃないか?
「救急車ー!この人モチコ詰まらせてもう息してないよ!なんでこんな…こんなことに…」
どうでもいいけど、やっぱりモコチキンうめぇよな。
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